2015年2月23日月曜日

第7回 ふくしま市民フォーラム 生活習慣病と健康づくり がん対策(特に肺がん)について その1

平成27年2月21日 福島テルサ FTホールでおこなった、第7回 ふくしま市民フォーラム 生活習慣病と健康づくり の がん対策(特に肺がん)について の内容を提示いたします。

はじめに
 福島市と福島市医師会とで行っているがん対策についてお話させていただきます。私は福島市医師会の肺癌検診の精度管理を担当しています。普段は大原綜合病院で画像診断おもに肺癌の画像診断の仕事をさせていただいております。今日のお話は肺癌を中心としたお話ですが、他のがんにも関連する内容ですので、基本的には他のがんも同様の視点でお考えいただければと思います。
 お話のタイトルは、がん対策です。一言でいうと、がん対策の基本は二つあります。一つは予防もう一つは検診です。

日本人の死因に占める「肺の病気」(2009年統計より)
 全死亡:約114万4千人 悪性新生物 (がん)(約30%)。悪性新生物の中の第1位:肺がん(約7万人)。心疾患(約16%)・脳血管疾患(約11%)・肺炎(約10%)・老衰(3・4%)・第10位:慢性閉塞(へいそく)性肺疾患(肺気腫、慢性気管 支炎、COPD)。
 日本人の年間の死亡数が約1000000人、そのうちがんが占める割合は3割、その中で肺癌がおよそ4分の一です。肺癌が悪性新生物の中で第1の死亡原因となっています。その他、死因の3-4番目が肺炎です。肺炎が10%です。慢性閉塞性肺疾患が死因の第10位に入っています。肺気腫などたばこが原因となる肺組織の慢性変化です。
 上位10位の中に肺の病気が3つ入っています。いかに肺疾患による死亡が多いかをお分かりいただけると思います。

肺って何をしているの?
 肺は胸膜という膜で覆われたスポンジのような臓器です。呼吸により空気を取り込むために膨らんだり縮んだりする。息を吸う:空気(酸素)を入れる。息を吐く:二酸化炭素を出す。
 酸素 と二酸化炭素の交換は、肺胞(はいほう)という0.1mmの小さな袋状の小部屋で行われます。私たちは一生涯、呼吸を繰り返していますので、肺は外界の空気を取り込む際のフィルター機能も有しています。エアコンのフィルターや換気扇の汚れのように肺にも汚れがたまります。たばこを吸う人にはタールなどの汚れが沈着しています。

がんの原因
 正常な細胞は秩序正しく細胞分裂をくり返す(古い細胞が取り除かれ、新しい細胞に置きかわる)
細胞の遺伝子に傷がつき、異常細胞(変異)になると、正常な細胞分裂ができず、無秩序に細胞が増殖し異常細胞の塊(がん)となる
 このような遺伝子の損傷の原因には、喫煙、受動喫煙、感染、化学薬品などがあります。反復する暴露により、癌のリスクが高まります。その他、アスベストの吸入、間質性肺炎、遺伝性(乳がん・大腸がんなど)などがリスク要因となります。

がんの予防と禁煙外来
 したがって、がんの予防は、なるべくリスクの少ない生活を送ることです。がん予防の12か条などの、がん予防のためのアドバイスが多数ありますので、ぜひ参考にされてください。その中でも、たばこの影響が大きいです。
 たばこはやめようと思ってもなかなかやめられません。これは喫煙者の70%はニコチン依存症となっているためです。
 タバコをやめられないのは意志の弱さではなく、ニコチンのもつ強い依存性が原因です。このような喫煙習慣は「ニコチン依存症」といわれ、治療が必要な病気とされています。禁煙外来では、医師のアドバイスと合わせて禁煙補助薬を処方することで禁煙の成功率が高まります。現在は禁煙治療を保険診療で行えますので、お悩みの方はぜひご相談いただければと思います。

(その2へ続く)

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