2015年3月4日水曜日

副腎腫瘍の鑑別診断

副腎は後腹膜にある大きさは1cm程度の臓器で、CTでは線のように見えます。腫瘍などにより腫大するとCTなどの画像検査で確認できるようになります。褐色細胞腫やクッシング症候群などホルモン産生に関連する病態のほか、副腎は多くの悪性腫瘍の転移臓器でもあります。
人間ドックなどの腹部超音波検査や腹部CTなどで偶然、副腎腫瘍を検出する場合があります。このような副腎の偶発腫瘍は剖検例の数パーセントに認められるとされています。多くは良性の腺腫であり、脂質に富み血流が豊富な腫瘍です。この性状を利用して、腺腫の確認を非侵襲的に行うことが、臨床上重要です。
副腎腺腫の大半が細胞内に脂肪を含有していることから脂肪成分を証明できれば転移などの悪性副腎腫瘍を否定できる根拠となります。脂肪成分が多ければ、CTでもdensityが低下し、CT値が10以下ならまず良性腫瘍と考えてよいとされています。さらに確実にミクロレベルの脂肪成分を検出するためには、MRIのin-phase像とout-of- phase像を対比するのが有効です。

副腎腫瘍のCTによる鑑別:単純CT検査で結節部分のCT値が10HU以下であれば腺腫の可能性が高い。また造影ダイナミック撮影で造影早期によく増強され、造影後期には洗い出し(washout)を示す場合、腺腫の可能性が高い。

副腎腫瘍のMRIによる鑑別:単純MRI T1強調画像のin-phase像に比べて、out-of-phase像で信号低下を認める場合、細胞内脂肪が豊富な腫瘤と考えられる。

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