2017年6月3日土曜日

超したたか勉強術

巨大組織の中で「したたかに」生き抜くための姿勢についての記載は説得力がある。他の自己啓発本には記されていない、基礎教養と情報の咀嚼・組織の中での姿勢は、当事者目線である。拘置所で夥しい量の書物を読破したという著者らしく、情報を己の知性として吸収していくプロセスの一端がうかがえる。

超したたか勉強術 (朝日新書) 新書 2015/4/13
佐藤 優 (著) 新書: 240ページ 出版社: 朝日新聞出版 (2015/4/13)
一時の感情に流されずに、他者と共存する道。日本を覆う「反知性主義」に対抗していくには自分の頭で「したたか」に考え続けるほかはない。「インテリジェンス思考法」をイギリスの中学歴史教科書をもとに解説。
序 章 「生き残り」のための技術を磨く
・「プレミア商品」となるには
組織の論理と折り合いをつけつつ、自分の羅針盤を持ち、そのことを組織に有益だと認識させる「したたかさ」 まず、基礎教養が必要 収集した情報の運用力
・なぜ、イギリスの歴史教科書なのか ・オリエンテーションをつける
第1章 「したたかさ」を身につける
・公開情報を読み解け! アナロジー(類推) 敷衍(ふえん:論を発展させる)
第2章 多様なものの見方をする
正反対の人物をイメージする 基本事項は丸暗記する ・自分なりの視座をもつ習慣
第3章 「失敗」と謙虚に向き合う
共通点と相違点 歴史的事実を使って規定する 情念面からアプローチする
第4章 複雑な問題を分解して考える
・複数のつながりに目配り 繋がりがあるか否か?
アイデンティティに注目 文化的遺産・歴史 第三者の立場から考える
第5章 「あてはめ」で可視化する
・世界史で考える 別の概念にあてはめる さらなる謎に迫る
第6章 不動とされる価値を疑ってみる
他人事と捉えない 他の選択肢の可能性を探る 価値を相対化する 価値を分節化する 立ち位置に目を配る ため込むだけの情報収集は無意味 知を生み出すのは自分の頭 保存する前に咀嚼する
第7章 物事を考えるときのルールを決める
感情的要素を排除する ルールの数はしぼる(物差しを減らす) 
・反知性主義にどう対処するか…… 知識が不足しているばかりか、知識や知性を憎む
第8章 「思考の鋳型」は組み合わせて使う
・客観性と実証性のないものは説得力がない 敷衍
第9章 自分の考えを自分で否定する知力をつける
双方の立場から立証する
終 章 いま置かれた立場で「生き残る」
基礎教養 情報収集 運用 内在的論理を探る

人に強くなる極意 (青春新書インテリジェンス) 新書 2013/10/2
佐藤 優 (著) 新書: 216ページ 出版社: 青春出版社 (2013/10/2)
第1章 怒らない メタ認知(客観的に俯瞰する)
第2章 びびらない 同調圧力 内在的論理を理解する アナロジー 自分の限界を知る
第3章 飾らない 結論を言う前に一呼吸置く フラットな社会:競争原理 シンプルな関係が貴重 自分が何者かを明確にする
第4章 侮らない 得意な分野に落とし穴 読書・内省ノート 組織の突然のスローガンに逆らわない 畏れ(リスペクト)
第5章 断らない 明日できることは今日やらない 他人との差異を楽しむ
第6章 お金に振り回されない 限界効用の逓減の法則が当てはまらない
再生産のためのお金:衣食住・家族の扶養・教育費 コモディティになるな、スペシャリストになれ
第7章 あきらめない 内省ノート 期限を区切る 複数同時進行 プロセスでの達成感・納得感
自己のレーゾンデートル(存在価値)に関わるものはあきらめない
第8章 先送りしない 多少うまくいかなくても、取り返しがきく

「ズルさ」のすすめ (青春新書インテリジェンス) 新書 2014/12/2
佐藤 優 (著) 新書: 216ページ 出版社: 青春出版社 (2014/12/2)
第1章 人と比べない いかに負けるか
第2章 問題から目をそむけない 小さな火が燃え広がることがある
第3章 頭で考えない 知り得ることを知ろうと努力し、知りえないことを静かに敬う
ラプラスの悪魔:情報化できれば未来を予測できる
人生には遊びの部分も必要 関係性の上に成り立っている
ロジカルに考えることができるから直感が成り立つ 違和感
第4章 時間に追われない 自分の時間を確保する 時間をマネジメントする
仕事の中で異業種と人脈を作る 一つの系には矛盾があるが、系の中からはわからない
作られた時間・仕掛けられた時間から一歩身を引く
第5章 酒に飲まれない 相手を言い負かさない
第6章 失言しない 相手の情報を得ておく 不可侵話題 修辞とレトリック
論理性を保ちつつ、レトリックを駆使する 時と場所と言葉を選ぶ
第7章 約束を破らない 小さな約束の次に大きな約束がある
できない約束をしない 話し過ぎない 約束を守ることは社会と経済の基礎
長く居住するという緩やかな関係
第8章 恩を仇で返さない 業績がないのに高く認められたいと期待する
誰かの役に立っている実感 経済合理性から外れた人間関係の良さ
第9章 嫌われることを恐れない 自律して飯を食っていける力があるか
とはいえ、嫌われないこと・好かれることを目指すべき
第10章 人を見た目で判断しない 怪しい人・やばい人ほどキチンとした格好をする
本質を見極めるには、時間をかけると知るべき
第11章 上下関係を軽んじない 組織内での上下関係のくびきからは逃れられない命令に背くこと:抗命 技能・知識・肩書を持つ 複数の価値観を持つ

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