2018年3月4日日曜日

平成29年度 病診連携懇談会

平成30228日(水)1815分から、ザ・セレクトン福島にて開催されました。
平成20年度に勤務医委員会が再設置されてから、年一回、ほぼ、現在のような2部型式(アンケート報告・ミニレクチャーと特別講演の型式)で「病診連携懇話会」を開催しております。

昨年同様、岡野 誠 福島市医師会長から開催のご挨拶をいただいたのち、わたり病院 佐藤祐治先生の座長で、シンポジウム形式の第1部:「地域医療連携の現状」を拝聴しました。

1)     わたり病院 地域連携室 佐藤和久先生 住民要望に根差した地域包括ケアの実践をめざす地域連携

わたり病院でおこなっている地域交流事業「弁天の会」、地域ネットワーク、放射線汚染の被災地域を考慮した注力など、ご報告いただきました。

2)     済生会福島総合病院 地域医療連携室 大河内昌子先生 済生会福島総合病院における地域医療連携について

現在の大森地区へ移転し、13年目。ちょうど移転5年目の時が震災だったとのことです。医師不足でもがんばっていると、各診療科の具体的特色についてご紹介いただきました。

3)     福島赤十字病院 地域医療連携課 田畑友子先生 新病院移転に向けての福島赤十字病院の地域連携について

紹介率、逆紹介率ともに80%を超えています。逆紹介を増やすための退院支援の取り組み、来年の新病院への移転により、約50床、病床がへることなどについてご説明いただきました。

4)     大原綜合病院 地域連携相談室 菅野雅博先生 当院の地域連携の実際

1月の新病院への移転の御礼ののち、二次救急への取り組み・総合患者支援センターの取り組み・外来患者の逆紹介増加についての課題・大原医療センターの地域包括ケア病床についてご紹介いただきました。

地域医療の中で各施設が担っている役割・理念をお話いただきました。新築時はそれらの役割・理念を具体化できる好機ですが、実際には各病院とも多くの課題をface-to-faceを基本にしたさまざまな工夫で対応されているようです。

会場からは、高額医療機器の共同利用について取り上げてほしい旨の要望がありました。1昨年まで県北地区の高額医療機器のラインナップを紹介させていただく「画像診断・病診連携懇話会」を10年ほど開催しておりましたが、バックアップメーカの事情で終了いたしました。次回あるいは別の機会に検討してまいりたいと思います。



2部は、福島赤十字病院 渡部研一先生の座長で福島県立医大 糖尿病内分泌代謝内科学講座 主任教授 島袋充生先生に特別講演「脂質異常症へのアプローチ:心筋梗塞死ワースト脱却の戦略」を賜りました。

心臓血管系疾患のハイリスクについて、わかりやすくご教示いただきました。冠動脈に起因する急性心停止には冠動脈プラーク・冠攣縮(スパスム)・特発性心室細動(多くは心筋梗塞後の心室性不整脈)などがあり、その主原因である冠動脈プラークの無症状期は10年~数十年、その間の予防戦略の重要性を説明いただきました。

若い世代への慢性予防(食事・禁煙・運動)とプラークの破裂を予防する急性発症予防をわけて考えることが必要です。急性心筋梗塞の相当数が遺伝性脂質異常症とのことであり、それらの病態に対しては薬物治療が必要です。一人一人の患者へ意味のある予防を行うことが必要というお話はたいへん納得させられました。福島県の課題は糖尿病とメタボとのことです。新聞などで公表されている福島県民の健康数値から、具体的な対策・治療戦略を考察するプロセスも説得力がありました。



3部と称した情報交換会にも多くの先生方にご参加いただきました。安斎外科胃腸科医院 安斎重夫先生の乾杯のご発声ののち、進行を済生会福島総合患者 星野 豊先生、中締めを やざわみほこレディースクリニック 矢澤美穂子先生にお願いしました。先生方・各病院の地域連携職員など和やかに歓談できる機会となりました。



この会は、福島市医師会・伊達医師会・安達医師会・アステラス製薬株式会社の共催で開催されています。製薬メーカの協力を受けにくくなっている昨今ですが、継続してご支援いただいているアステラスさんにはたいへん感謝しております。

参加者:約100。ご参加、ありがとうございました。(勤務医委員会 森谷浩史)

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